
金沢の近江町商店街。今どき珍しい、路面店に多くの客が押し寄せる絵面。これ懐かしいですよね?ちょっと前までは当たり前だったのに、いまでは全く見ない商店街です。この商店街、アーケードの屋根があり、雨でも濡れずに買い物ができるのと、2階の飲食店街と地下のショップも充実しているため、買い物客が多く賑わっております。
特にこの季節は海産物ではノドグロ、サバ寿司、オニエビ、ガスエビ、寒ブリなどの旬の魚が目当てでお客さんを呼び寄せてます。が、私の狙いは松茸。10月20日〜11月10日の約20日間は松茸の狙いどきなんです。
我々の街のある中国地方。これはかつて松茸の一大産地でしたが、残念なことに今や全滅と言っても過言ではないほど取れなくなりました。その原因は松の木の減退。中国山地はかつては赤松の一大産地だったんです。岡山県には10年ほど前までは松専門の製材所があったほど。今やそんなものもなく、松はどんどんダメになっていってます。原因はマツクイムシ。マツノザイセンチュウビョウとも言うらしいですが、カミキリムシやゾウムシなどに寄生して、松に入り込んで枯れさせる寄生虫を元にした病気らしいです。それらが猛威を振るって47都道府県もれなく広範囲にわたって松枯れを起こしていっているようです。
松は湿り過ぎたところは好まず、山の尾根を好んで増えて行きます。風通しがよく、日当たりが適度で、下草が多すぎても少なすぎてもだめ。松は微妙なコンディションを好む難しい木なんです。
松茸はその松の根っこの先に寄生するきのこです。若くて元気な松がないとうまく育ちません。そして山の土(こくば)を人間がとりにきて畑にまく。そうやって風通しがよくて健康な松林ができる。そんな環境の中に松茸が生育するんですね。元気な松の林がなくなり、中国地方は松林がまったくなくなりました。長野県もダメになり、今は能登の松林のみが元気です。
昨年と一昨年はこの松林から松茸が多く出てきたのですが、今年は気候がちょっと悪くてダメみたいです。松茸は10月に冷え込んで、11月に適度に雨が降ると大体大量になるようです。今年はごくごく最近まで暖かかったためうまくいかなかったようです。
地球温暖化か?との疑いがあるようですが、私は違うと思います。地球全体が温暖化しているというには今年の夏は九州が涼しすぎました。気候変動はかなり進んでいると思うのですが、しかし、どこもかしこもが温暖化しているとは言い難い。
こんなことを言っていると断熱至上主義の皆さんに怒られるのですが、科学的に物事を考えるとそうなんです。今まで寒かったところが暑く、暖かかったところが寒くなる気候変動が起きているとしか言いようがありません。何千年も前の青森県は三代丸山遺跡、その頃は青森県のあたりが今で言う九州あたりの気候だったようです。貝塚には温暖な地域でしか取れない貝や魚の骨が発見されています。気候変動が起きていると言うのが正しいのでしょう。
これは人間にとって不都合なのが、食料問題です。いままで長い間かけて食糧生産の投資をしてきたのに全てパアになる。また別の農作物に変更しないといけない。そんなことが日本国中で起きるのだろうと思います。
松茸のことでそこまでは言い過ぎとも思うのですが、私の家では秋になれば松茸で季節を占うものでした。今年は冷え込みが早いなとか、適度に雨が降らなかったとか。父親が松茸好きで、自分で山の管理までしておりましたので、子供の頃からそんな癖がついたのでしょう。
その父親が入院しておりますので、秋の味覚の松茸を求めて能登にまで買い物に行ってきましたが、松茸ご飯の握り飯にして病院に差し入れしたところ、『看護師さんに怒られる』と言いながらうれしそうに握り飯を頬張っておりました。
いつまでも松茸が取れればいいのですが、こればっかりは難しそう。でもあと数年は能登の方はまだ大丈夫。まんがよかったら良いマッタケに出会えるだろうと期待して買いに行きたいと考えております。







