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住宅エコリフォーム推進事業②

こんにちは、設計の玉中です。

『こどもエコすまい支援事業』などの三省合同補助金が
始まっているのに今更需要あるのか?と思いながらも
『住宅エコリフォーム推進事業』の紹介記事の第2段、
『補助金額計算編』です。


めちゃめちゃ長いのですが、建替えやリフォーム工事をお考えの方だけでも
是非ご覧ください。


第1段の紹介記事は下記リンクから開きます。
『住宅エコリフォーム推進事業①』はコチラ



まず補助限度額についてですが、
戸建て住宅の場合は512,000円/戸です。
なぜこんな中途半端な数字になったのかはわかりませんが、
全体改修の場合も部分改修の場合も共通となっています。


ここまでは前回の『①概要編』でもお伝えしましたが、
今回はその補助金額の中身を詳しく見ていきます。














1. 全体改修の場合

1軒まるごと改修する工事や建替え工事の場合ですが、
「断熱等性能等級5」かつ「一次エネルギー消費量等級6」であること
が条件として求められます。
いわゆるZEH基準というやつですね。

この時貰える補助金額は
『補助対象を満たすために行う工事に必要な費用×定められた補助率』
という計算式で求めることになります。




「補助対象を満たすために行う工事」というのは
断熱性能を高めるための開口部や躯体断熱の工事や
省エネ性能の高い設備機器の導入を指しています。

ただし、断熱化工事の方が省エネ住宅の主体であるため、
節湯水栓や高断熱浴槽・節水型便器などの省エネ設備の導入は、
古い窓を撤去して新しい窓を入れる「外窓交換」や
既存の壁を壊して柱の間に断熱材を入れる「断熱材充填工事」などの
断熱化工事にかかる費用の同額以下にすることが条件となっています。




続いて「定められた補助率」についてですが、
「省エネ診断」と「省エネ設計等」については費用の1/3、
実際の工事である「省エネ改修」については11.5%
となっています。





表だけではイメージしにくいと思うので、仮の費用で計算してみましょう!

建替えで総二階の小さめな新築にする計画を想定してみます。

まず補助対象は3種類で、それぞれの補助率は
1⃣省エネ診断費の1/3
2⃣省エネ設計費の1/3
3⃣省エネ改修(工事費)の11.5%

です。



省エネに関する部分だけが対象となるので、
それ以外の建築確認申請などの費用は除いて考えないといけません。

今回は計算しやすいように
1⃣と2⃣を合わせて18万円
ということにしておきます。

この18万円に補助率1/3を掛けて、6万円が補助額となります。




続いて3⃣省エネ改修についてですが、
工事費用は実際の工事費に補助率の11.5%を掛けたものが補助額になります。



まずは開口部工事として、
1棟分の窓と玄関ドアの製品代を120万円とすると、120万円×0.115=138,000円です。



次に断熱工事の費用ですが、
山弘では基礎断熱に加えて、屋根と壁にセルロースファイバーの吹込みを行っています。
基礎・屋根・壁の断熱工事の費用
を72万円とすると、72万円×0.115=82,800円です。



次に省エネ設備の費用ですが、
山弘の標準仕様では高断熱浴槽や高効率給湯器、浴室節湯水栓、LED照明が対象となります。
建替えの場合は「省エネ性能を得るための工事の費用」が対象なので、
高機能エアコンや熱交換換気システムなどを導入する場合は
それらも対象になると考えて良いでしょう。
ただし、省エネ設備の工事費は開口部・躯体等の断熱化工事と同額以下という
縛りがありますので、計算の際には要注意です。

浴槽・給湯器・浴室水栓の3種は後述する部分改修用のモデル工事費を採用すると
3種の工事費合計が64万5000円となり、64万5千円×0.115=74,175円です。

さらに照明器具の費用として製品代を25万円とすると、25万円×0.115=28,750円です。


ここまでの3⃣の補助額を合計すると、323,725円になっています。



後は上記の高性能エアコンや換気システムを採用する場合の他、
窓を設置する大工さんの施工手間費や窓廻りの防水工事費
照明器具の配線・接続をする電気屋さんの施工費
などが加算されるのですが、
1⃣診断と2⃣設計の補助額合計の6万円を含めても
上限の512,000円までは届くかどうかというところでしょうか。



それだけ上限に余裕がある補助額の設定と言うのか、
補助率の11.5%という設定が絶妙なのか。






2. 部分改修の場合

建物全体ではなく一部分だけをリフォームする内容の場合は、
①2ヶ所以上の開口部の断熱改修  が必須となり、
②躯体の断熱化工事
③省エネ設備の導入

は①と同時に行う場合は補助対象となる。というルールになっています。


そして補助額計算については
「実際の工事費」と「モデル工事費」のどちらか低い方に
補助率の11.5%を掛けた金額
となります。

また、全体改修の場合と同じく省エネ設備改修の補助額は
開口部や躯体の断熱改修の補助額以下
にしなくてはいけません。






①開口部の断熱改修

改修すれば何でもOKというわけではなく、省エネ製品として
データベースに事前登録されている商品でなくてはいけません。

というのが今までのお決まりだったのですが、

本制度はさらに一歩踏み込んでおり、
『ZEH仕様基準を満たす「省エネ建材型番データベース」へ登録された製品』
のみが補助対象となっています。






ZEH仕様基準というのは姫路市で木造戸建て住宅の場合、
熱貫流率(U値)が2.3(W/(㎡・K))以下の製品となります。

日本サッシ協会の技術資料を基にすると
【樹脂と金属の複合サッシでLow-E複層ガラス、ガス入り中空層12mm以上】
のサッシならU値2.15となり基準をクリアとなります。

これが同じ複合サッシのLow-E複層ガス入りでも中空層が12mm以下だと
U値は2.33となり、2.3以下を満たしていないことになります。
各メーカーの出しているカタログ等で性能を確認するのであれば、
中空層が薄い商品でも基準をクリアしているものもありますので、要確認です。


開口部改修には窓枠をそのまま使ってガラスだけ交換する方法もあるのですが、
枠がアルミ製だとガラスを上の例と同じものにしてもU値2.91までとなり、
ZEH基準の2.3以下をクリア出来ませんので、本制度では利用が難しそうです。
対象とするには外窓交換や内窓設置での計画が良さそうです。

内窓設置



そんな窓工事の補助額計算については、モデル工事費が下のように定められています。



外窓交換の中サイズの場合、モデル工事費が171,000円となっていますので、
補助額は171,000円×11.5%=19,665円となります。
2ヶ所以上が補助の必須条件なので、2ヶ所分として39,330円の補助額になります。

このようにサイズによって金額が決まり、箇所数を掛けて合計を出すのが基本の計算となります。


注意点としては「実際の工事費」と「モデル工事費」の低い方を採用しないといけないので、
中サイズの中でも1.6㎡以上ギリギリの窓だと「実際の工事費」の方が低くて
2.8㎡以下ギリギリの窓だと「モデル工事費」の方が低いという
ことも起きるかもしれません。ややこしいですね。




②躯体の断熱化工事

開口部改修と同様に「省エネ建材型番データベース」へ登録された製品を使って
ZEH仕様基準に適合させることが条件となります。
登録された商品でも必要な厚さが無いと基準に適合しないため、
商品の選定だけでなく施工の内容にもチェックが必要となります。



断熱改修のモデル工事費は以下の表となっています。




例を使って計算してみると、
新築で使っているセルロースファイバーは熱伝導率0.040なので区分Cになり、
外壁に吹込みをする場合のモデル工事費は182,000円/㎥を用います。
すると補助額は182,000円×0.115=20,930円/㎥となります。

山弘の新築の仕様を例にして、関東間の1間サイズで天井高さ2.1m、柱の厚さが120mmとすると、
柱と柱の間が幅1.7m×高さ2.1m×柱の厚さ0.12m=0.4284㎥なので、
補助額は壁1枚あたりで20,930円×0.4284㎥=8,966円ですね。

間取りや窓の位置などによってバラバラになりますが、
真四角のLDK1部屋分の外壁を断熱工事をしたとすると腰窓の下半分とかも含めて
5壁分の44,830円くらいになるでしょうか?


天井や床の断熱改修も考え方は同じなので省略しますが、
使用する断熱材の量で補助額が決まるという考え方は
『こどもみらい』や『こどもエコすまい』とも共通なので、
補助額の単価は比較出来そうです。



③省エネ住宅設備の導入

省エネ設備も給湯器や浴室節湯水栓、高断熱浴槽などは『こどもみらい』に登録されている型番、
蓄電池については『戸建て住宅ZEH化等支援事業』に登録されている製品
を使うことと決められています。

一方で燃料電池やLED照明についてはそのような登録データベースはなく、
品番の指定は無しとなっています。



そしてモデル工事費は以下の通りです。


建替えの計算例でも使いました浴槽・給湯器・浴室水栓の3種を採用すると
3種の工事費合計が64万5000円となり、補助額は64万5千円×0.115=74,175円です。



先ほども注意点として書いたものの繰り返しですが、
省エネ設備の補助額は開口部改修と躯体断熱改修の補助額の
合計以下しか補助対象になりません。


今回の例だと
①開口部改修の窓で例にした外窓交換の中サイズが2ヶ所分で39,330円
②躯体断熱化で例にした外壁断熱の補助額が44,830円
だったので、この合計に納まっている74,175円は全額補助対象に出来ます。

よって補助額は合計で158,335円となるわけです。






設備導入が皆さんにとっても馴染み深いかもしれませんね。
しかし、ここにはまだ本制度の落とし穴が1つあり、
紹介記事①でも書いた通り、給湯器の性能が低い対象外製品だと
高断熱浴槽と浴室節湯水栓も補助対象になりません

その逆も同様なので、3点セットと覚えておきましょう。

既に設置されているものが登録された製品なら新しくする必要は無いのですが、
セットで工事しない場合であれば事前に調べておくことが大切です。













いかがだったでしょうか?


本制度『住宅エコリフォーム推進事業』は
今までの補助金や『こどもエコすまい』に比べて
補助額計算の条件が多くてややこしい。という印象です。

本当は『こどもみらい』や『こどもエコすまい』と補助額を比較して
どれを使うのがお得なのか試算してみようと思っていたのですが、
「場合による」が多すぎて挫折しました汗




断熱改修などのリフォームをお考えの方は、
ぜひ直接お問い合わせください。
どの制度を組み合わせるのが最適か、
工事計画に合わせて一緒に検討させて頂きます!


実施積算課 玉中健太

玉中 健太

玉中 健太

住宅事業部 実施積算課

資格:宅地建物取引士・二級建築士

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