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南極建築

 こんにちは、先日いってきた健康診断の結果が気になる設計の築山です。
 今回も本棚から一冊ご紹介いたします。

 今回ご紹介するのは、LIXIL出版より発行されています南極建築です。

 極寒と強風の地、南極。過酷な環境下で観測隊の暮らしを支える建築物はどのようにつくられてきたのか。一番の課題が雪の吹き溜まり(スノードリフト)だ。数年で建物を埋没させる。四代にわたる観測船の大型化に伴い、形状等が模索され、快適さも飛躍的に向上していった。
 本書では、日本初のプレファブ建築が誕生した第一次観測隊の1957年から現代の2016年までを5期に分け、観測船の代替わりと重なるエポックメイキング的な建築物の変遷を追う。実録レポ的絵本『築地市場』の作者モリナガ・ヨウが緻密なディテール描写で基地を図解する大画面イラストを目玉にした図版構成。さらに論考で、スノードリフト対策や実体験から得たノウハウなどを専門家、元越冬隊長らが披露する。10か所以上の海外基地も図版・解説付きで紹介する。各国の工夫とデザインが見どころ。建築と住環境に特化した初の南極本となる。
*各章見開きイラスト by モリナガ・ヨウ+写真&解説原稿
*挟み込み付録「1次隊の昭和基地青焼き設計図」複写


本書によると、南極建築第1号は、素人でも作れる木質パネルのプレファブ構造だったとあります。当時日本に割り当てられた基地候補地はプリンスハラルド海岸というだけで、詳しい場所までは決まっておらず、建設場所が氷上なのか、岩盤なのかすらもわからず、気温、風速、積雪量がどの程度なのかも資料や情報が乏しい中設計に取り組む事となったそうです。
 初期案として斬新な円形プランが考案されたが、最終的には箱型プランに落ち着いたという。それには厳しい設営条件も関係していました。工期期間は2カ月足らずの夏の間しかなく、建設は素人の観測隊員が行うこと。部材の輸送に重さと大きさの制限があることから、木質パネルによるプレファブ工法が開発されたのです。
 また、建物の安全性のための設計基準は、以下のように決められました。

 1 最低気温はマイナス60度
 2 風速は常時毎秒80メートル
 3 最大積雪は屋根面で2メートル
 4 地震力は零
 5 湿度40パーセント(相対)
 6 室内温度プラス20度(温度差80度)

 パネルの基本モジュールは、4尺×8尺(1200㎜×2400㎜)、厚さ100㎜。床・壁・天井のパネルすべてをこのサイズで統一し、組み立てられる。パネル同士の接合には釘等は一切使われず、特殊なコネクター(接合金物)を採用。
 分厚い手袋をはめたままハンマー1本で作業ができて、誰がやっても一定の精度が保てるように考えられていた。
 
昭和基地の開設は、1957年1月29日。「宗谷」が離岸する2月15日までの、わずか2週間ほどの間に急ピッチで建設は進められ、プレファブ3棟、キャンバス張り1棟、計4棟が完成。南極におけるはじめての越冬生活が始まった。

 その後、本書には第57次隊(2016年)までの南極建築の進化の過程がつぶさに記録されている。カタログのような装丁ですが、内部は実に凝った作りで当時の図面なんかは、わざとざらついた質感の紙に青焼風の印刷を施していたりして、ページをめくるたびに楽しい本です。

寒くなる季節、極地に思いを馳せてみてはいかがでしょう。

営業・設計課 築山


 

築山 大祐

築山 大祐

住宅事業部 営業設計一課

資格:2級建築士

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