
玄関:家の「顔」としての格式と第一印象
「玄関」という言葉は、もともと仏教の禅宗に由来し、「奥深い悟りの境地への入り口」を意味していました 。それが時代とともに、住宅の出入り口を指すようになり、現在では「家の顔」として、その家の第一印象を決定づける重要な場所とされています 。
玄関には、外からの汚れを室内に持ち込ませないための段差「上がり框(あがりかばち)」があり、これは単なる機能だけでなく、家の格式や社会的な地位を示す象徴でもありました 。また、日本特有の「靴を脱ぐ」文化に合わせて、靴を置く「たたき」や、靴に当たらないよう外開きのドアが採用されるなど、生活習慣が構造に深く反映されています 。玄関は、来客をもてなし、家族の「いってきます」「ただいま」が交わされる、公的で象徴的な空間なのです 。
勝手口:家の「おしり」としての実用性とプライバシー
一方、「勝手口」の「勝手」は、昔、台所を「お勝手」と呼んでいたことに由来します 。勝手口は、玄関とは別に設けられた裏口やサービス用の出入り口で、主に日常的な家事や生活動線をスムーズにするために設置されます 。
その主な機能は、ゴミ出し、庭仕事、食料品の搬入、洗濯物の干し場への移動など、多岐にわたります 。汚れたものを玄関を通さずに処理できるため、玄関や室内を清潔に保つ役割も果たします 。
歴史的には、勝手口は使用人や家族の普段の出入り口として利用され、玄関が公的な場所であったのに対し、勝手口はより実用的な目的で使われていました 。家の裏側に設置されることが多いため、外からの視線が遮られ、家族のプライバシーを守る役割も担っています 。採光や換気を確保し、非常時の避難経路としても機能するなど、目立たないながらも住宅の快適性と安全に不可欠な役割を果たしています 。
ただし、勝手口は道路から見えにくい場所に位置し、鍵の構造が簡易になりがちであるため、防犯上の脆弱性があるという課題も抱えています 。
「おしり」という比喩の妥当性、そして現代の勝手口
「おしり」という比喩は、勝手口が持つ「隠れた場所」「実用性」「生活感」「裏方」といった特性を的確に捉えています。玄関が「見せる」役割を担う「表」の空間であるのに対し、勝手口は「動かす」「処理する」といった「裏」の作業を支える、目立たないが不可欠な存在です。
しかし、現代においては、勝手口の認識に変化が見られます。かつては「あまり見せたくない出入り口」と認識されることもありましたが 、近年では家事動線の効率化、プライバシーの確保、採光・換気といった実用的なメリットが再評価され、「第二の玄関」としてデザイン性も重視される傾向にあります 。デッドスペースを活用したストックヤードやテラス囲い、ウッドデッキなどの設置により、勝手口周辺はさらに多機能なプライベート空間へと進化しています 。
まとめ
「玄関は家の顔だとすると勝手口はおしりなのか?」という問いに対し、勝手口は確かに「おしり」が持つ「隠れた場所」「実用性」「裏方」といった意味合いを色濃く反映していると言えるでしょう。それは単なる「裏」ではなく、現代の多様なライフスタイルを支える、戦略的かつ不可欠な「機能の要」として、その重要性を再認識すべき存在です。玄関と勝手口は、それぞれ異なる役割と象徴性を持ちながらも、互いに補完し合うことで、日本の住まいが持つ独特の奥深さと多様性を形成しているのです。
ヤマヒロ新築事業部企画設計課 築山大祐
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